「消費税が10パーセントになる前にマイホームを」という需要が増えてきています。
また都心部では、東京オリンピックに向けた動きの関連で、土地が値上がりしてきているので、なるべく早く自宅を購入しようという流れも出てきています。
不動産の売買が活発化している中、購入者としては、購入物件に傾きがないかということが、気になるかと思います。
新築もそうですが、中古となると尚更かと思います。
家の傾き工事を生業としているだけに、家の傾きをどのように調べたらよいですか?というご質問をいただきます。
昔から「ビー玉を転がしてみる」なんていいますが、実はこれでは「家が傾いているか」というのは、分かりづらいのです。
もちろん家が傾いていても、ビー玉は傾斜によって転がっていきます。
しかし例えば、フローリングが少し反っているだけでも、ビー玉は転がってしまうので、転がった=家が傾いているとは言い切れないのです。
チェックしていただきたい部分としては、ドアがゆっくりではなく普通のスピードで自然に開いてしまったり、玄関がスムーズに閉まらないというようなときは、傾きが生じている可能性が極めて高いと思っていただければと思います。
また雨戸がある建物であれば、雨戸の上の方に少し隙間があったり、雨戸が傾いている場合は、これもまた傾きが生じている可能性があると判断していただいて良いでしょう。
さて、ここまで購入者側としてのチェックということでお話をさせていただいてきましたが、実は売り手側も、家の傾きに関しては注意しなければなりません。
それは、住宅瑕疵担保責任履行確保法があるからです。
瑕疵担保責任とは、戸建やマンションなどに欠陥があったことが、購入後判明した場合、売主が買主に対して修繕をしたり、契約解除や損害賠償などを負うという、言わば責任です。
中古の場合、瑕疵担保責任期間は二年となっているので、売主においても家の傾きを見逃して販売してしまっては、のちのち責任を強いられます。
修繕で済めば当社がお手伝いできますが、契約解除となってしまったら大問題です。
引っ越し代など、さまざまな費用を請求されてしまいます。
販売する前に、しっかり傾きをチェックすべきでしょう。
と、ここまでお話をしますと、住宅瑕疵担保責任履行確保法があるから、買い手側は守られている、つまり家の傾きをチェックする必要はないのでは?何か異変を感じてからで良いのでは?とお感じになると思います。
残念ですがその解釈はNGです。
実は中古物件の場合、一見、業者が販売しているように見えますが、「仲介」というスタイルであることが一般的で、この場合、販売しているのは「個人」ということになります。
民法、宅建業法などが複雑に関わっている内容なので、細かいことは割愛いたしますが、実は、瑕疵担保責任の義務は売主が個人の場合、絶対ではないのです!
つまり、重要事項説明書に「瑕疵担保責任免責」とあれば、後々なにか欠陥があっても、売主である個人にその責任を追及はできないのです。
おまけに、たとえ売主が業者であったとしても、家の傾きに関して瑕疵担保責任を訴えることができるのは、床が1000分の6以上ないといけません。
1000分の6とは、分かりやすく言いますと、10メートルに対して6センチです。
状況にもよりますが、1000分の3ぐらいの傾きでも、体調を崩されるほどの状態になってしまった家主様も、当社では存じ上げております。
でも1000分の3では、瑕疵担保責任免責の追求は難しいのです。
つまりやはり、購入時に買主側が、しっかりと家の傾きをチェックすることが重要になってきます。